*右脳開発とは
毎日の生活で、子供の頃はすぐに覚えられたものが大人になるとできなくなるということはありませんか。その原因は、大人になると左脳ばかり使うことが多く、右脳をあまり使っていないからなのです。私たちの左脳は言語脳(話す・聞く・書く・情報を収集する)と呼ばれ理論的に考える働きをします。右脳は感情脳(イメージ力・記憶力・想像力・ひらめき)と呼ばれ物事を全体的に捉える役割をします。左脳と右脳の基本的な役割はこのようなことなのですが、実際には脳の他の部位(後頭葉(視覚)・頭頂葉(運動)・前頭葉(読む、書く、話す)も同時に使って読み書きをしています。このようなことから左脳と右脳をバランスよく使うことが大事なのです。至道塾では、特に右脳の働きを良くするために「論語の素読、生花、書」を使って右脳をトレーニングします。
(1)論語の素読
素読(音読)は視覚、聴覚、声を使い入力と出力を同時に行う高度な学習方法です。黙読より脳で処理できる情報が増えるのでより多くの情報を記憶しやすくなります。また、音読は創造性や思考力を鍛えることができるので年配者にも効果的です。左脳は記憶容量が少ないので長期的な記憶には右脳をより使います。音読は右脳を使って図形や映像などのイメージの記憶を高速で処理できるので長期的な記憶に適しているのです。このような音読の効果に加え、教材として使用する論語を繰り返し読むことで良い言葉、道徳心を身につけられるのが副次的効果です。
(2)生花
花器に草花をいけるトレーニングで空間認識能力を高めます。空間認識能力とは、物体の位置・方向・姿勢・大きさ・形状・間隔など物体が三次元に占めている状態や関係を素早く把握、認識する能力です。実は、この能力は視覚や聴覚など複数の感覚器によって成立し右脳によってコントロールされているのです。花器と草花をバランス良く仕上げるにはそれぞれの位置・方向性・大きさ・間隔を同時に調整しなければなりません。そこに一人ひとりの好みを加えて完成されるトレーニングで右脳を活性化させます。
(3)書(毛書)
スマホやパソコンで文書を作成することが主流となる一方で「手書きに用いられる多くの感覚が脳を活性化させ記憶力を高める」ということが判明しています(ノルウェー科学技術大学の研究報告より)。手で文章を書くと脳の感覚運動野が活発に働き始め、手で感じる筆圧や書いた文字を見ること、書いている時の音などのあらゆる感覚が脳を刺激することでその内容が頭に残りやすくなるのです。至道塾では伝統的な毛筆を使ってトレーニングしますが、文字を思い出しながら手で書くことは手書き文字に含まれる歪みや擦れといった「ノイズ要素」によって後頭葉が活性化するとも言われています。