ご挨拶

大航海時代に始まる地球規模の収奪と破壊の歴史、そして産業革命を機に地球全体に広がった資本主義によって私たちは経済活動に追われる日々を送っています。古来、地球上の各民族はそれぞれ特有の言語と文化を持ち、自然と共存しながら民族の歴史を織りなしてきました。その一方で人々は競争や経済的効率性のための技術開発を重要なものと考え、人間が機械の歯車のように使われる時代になりました。教育現場では知識の量が成績評価の中心となり、会社では業績評価に凌ぎを削ることが至上命題となり私たちは利便性と引き換えにローンに縛られた人生を送っています。自殺、いじめ、家庭内殺人、政治家や企業人の不正行為は後を絶たず、神仏や自然への畏敬の念を持つことが時代遅れと揶揄される昨今です。

これらの問題の原因は社会の仕組みの欠陥だけでなく、私たち一人ひとりの心にあるのだと考えています。行き過ぎた個人主義や利己的行動によって社会不安が助長される時代、この問題を解決するためには利他的行動で他者を慮る心を養わなければならないのではないでしょうか。利他の心を持った私たち一人ひとりが家庭、組織、社会、国となるのです。混沌とした時代を生き抜くために、私たちは利他の精神を大いに磨かなければなりません。至道塾は日本の伝統文化の稽古を通してこのような心を備えた人づくりをしてまいります。

【至道塾の名の由来】

 至道無難、唯嫌揀択 しどうぶなん、ゆいけんけんじゃく

                  (「信心銘」僧粲(そうさん)大師著より))